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防水工事の耐用年数は?費用相場・施工例・節税対策も徹底解説
2023年06月29日
費用負担が高くなりがちな防水工事ですが、耐用年数を知っておくと収支の計画が立てやすくなります。
耐用年数を理解し、定期的にメンテナンスを繰り返せば、建物の資産価値の維持は万全です。
今回は、4種の防水工事の耐用年数と費用相場を解説し、マンションと一般住宅の施工例を提示します。
気になる節税に関しても言及しているので、ぜひ資産運用にも役立ててください。
防水工事の耐用年数は10~20年
防水工事の耐用年数は、10〜20年といわれています。
10〜20年の耐用年数の差は施工法による違いです。
施工法には、ウレタン塗装防水・シート防水・FRP防水・アスファルト防水の4種があり、それぞれに特性が異なります。
建物の規模や施工箇所の形状・施工エリアに応じて選択するとよいでしょう。
防水工事の耐用年数・費用相場を種類別に詳細解説
防水工事の施工法は下記4種です。
1.ウレタン防水
2.シート防水
3.FRP防水
4.アスファルト防水
それぞれの特性・耐用年数・費用相場を解説します。
ウレタン防水の場合
ウレタン防水の施工法と特徴を表にまとめました。
工法 |
施工法 |
特徴 |
密着工法 |
1.下地に直接ウレタン樹脂材を塗布 2.塗布したウレタン樹脂材の上にメッシュの補強布を貼る 3.補強布の上からウレタン樹脂材を一定の厚さまで塗り重ねる |
・工期が短く安価 ・下地に湿気があると塗布面が膨らむ |
通気緩衝工法 |
1.通気緩衝シートを下地に貼る 2.通気緩衝シートの上からウレタン樹脂材を塗り重ねていく |
・下地の湿気を排出し、塗布面が膨らまない ・密着工法より高価 ・複雑な塗布面には不向き |
ウレタン防水の耐用年数は8〜12年です。
ウレタン塗料を刷毛やローラーなどで塗布する施工法で、形状や広さに関係なく施工できます。
費用相場が1㎡辺り7,500円〜と安価な点が魅力です。
一方で、職人の技術によって、仕上がりに差が出てしまう懸念があります。
シート防水の場合
使用するシートにはゴムシートと塩ビシートがあり、どちらも耐用年数は13年程度です。
接着剤や熱でシートを貼りつけるシンプルな施工法のため、工期が短く済みます。
損傷がなければ、耐用年数までメンテナンスが不要な点もメリットです。
一方で、起伏のある面での施工が難しい点がデメリットといえるでしょう。
費用相場は1㎡辺り7,000円〜です。
FRP防水の場合
FRP防水の耐用年数は10年前後とされています。
FRP防水とはガラス繊維強化プラスチックを用いた方法です。
塗り固めていく過程で堅牢な層を形成し、抜群の防水効果を発揮します。
軽量のため使い回しも楽で、防水工事の中では最も短い工期で施工できます。
腐食しにくい反面、紫外線に弱く伸縮性がない点がデメリットです。
費用相場は1㎡辺り9,000円〜です。
アスファルト防水の場合
4種の防水工事の中で最も耐用年数が長い施工法が、アスファルト防水です。
耐用年数は15〜25年にもなり、費用相場は1㎡辺り8,000円前後です。
施工法には以下の3種があります。
・熱工法
・トーチ工法
・冷工法
それぞれの特徴、メリット・デメリットを以下の表にまとめました。
工法 |
特徴 |
メリット |
デメリット |
熱工法 |
熱で溶かしたアスファルトとルーフィングシートを交互に重ねる |
・100年以上の歴史があり、ノウハウが豊富 ・信頼性が高い |
・独特の臭いと煙の発生 ・火災のリスク |
トーチ工法 |
トーチバーナーでアスファルトを炙りながらシートを貼り重ねる |
・隙間なく溶できて防水効果が高い ・煙と臭いが少ない |
・火災のリスク ・広い場所が必要 |
冷工法 |
粘着層を加工した改質アスファルトルーフィングシートを交互に貼り重ねる |
・熱も煙もなく安全 ・近年の主流 |
・他工法より密着度・防水効果は低い |
アスファルト防水では、群を抜いた強度と長い耐用年数を両立できます。
反面、重量があるため大規模な建造物でないと耐えられない点、熱を用いる危険性などがデメリットです。
防水工事の施工例と参考価格
実際の防水工事の施工例を紹介します。
マンションと一般住宅、それぞれの雨漏り対策としての防水工事です。
参考にしてもらえると幸いです。
マンション屋上の防水工事例と参考価格
4階建てマンションの屋上防水工事の例です。
施工手順に沿って列記します。
1.雨漏りの原因究明
2.屋上の防水シートの縮みを発見
3.防水シートと笠木との接合が不十分だったため、防水シートが縮んだ
4.既存防水シートを撤去
5.要望により、ウレタン防水施工
6.笠木部分を入念に防水
下記は雨漏りの原因が、防水シートと笠木との接合ミスであった場合の例です。
広さ |
人工 |
工期 |
参考価格 |
70㎡ |
20人 |
1週間 |
約40万円 |
そのため、ゴムシートが経年劣化で縮んでしまった点が原因です。
防水工事に大切なのは、業者の技術だと思い知らされる例といえます。
一般住宅の屋根・外壁の防水工事例と参考価格
一般住宅の場合、防水工事とは呼ばず補修工事、あるいはリフォームと呼びます。
築35年、30〜40坪の瓦屋根の住宅で生じた防水工事例です。
1.雨漏り修理として棟部分の取り直し
2.棟板金の取り換え
3.下地劣化はなかったため、防水シートの施工のみ
4.耐久性20年の改質アスファルトルーフィングを使用
5.瓦・棟板金の施工
以下、基本情報です。
広さ |
工期 |
参考価格 |
30~40坪住宅瓦屋根の棟と谷部分のみ |
3日 |
20~30万円 |
既存の瓦の再利用があり、丁寧な作業が要求されました。
瓦屋根での施工は高い技術を要するといわれ、こちらも業者選びがポイントといえる事例です。
防水工事の耐用年数と建物の減価償却による節税
防水工事には耐用年数があるため、定期的な出費が生じます。
出費額もかさむため、必要経費として計上するのが賢明です。
資産価値の維持管理・原状回復のための修繕費として計上しましょう。
他方、防水工事の目的が、建物の耐久性を延ばしたり、価値を高めたりする場合は注意が必要です。
上記の場合は、修繕費ではなく資本的支出として扱われます。
この場合、耐用年数に応じて減価償却し、税金控除額として計上します。
また、法人の場合、任意償却が認められている点も押さえておきましょう。
所得の多い年度に資産支出として減価償却すると、節税効果が期待できます。
防水工事の耐用年数は定期点検とメンテナンスで延ばせる
防水工事の耐用年数を延ばす場合、以下の3点に留意するとよいでしょう。
・ドレンの清掃
・3~5年おきのトップコートの塗替え
・劣化症状へのすみやかな対応
また、以下のような症状が見受けられるようなら、防水層が劣化しているサインです。
・雨漏り
・水溜まり
・雑草が生える
・ひび割れ
・浮き・破れ
小さな劣化ならDIY補修できるケースもありますが無理は禁物です。
まずは、業者に相談するのが望ましいでしょう。
まとめ
建物の維持管理に防水工事は欠かせません。
耐用年数は施工方法によって開きがあるものの、おおむね10〜20年です。
耐用年数を目安に定期的な経費として計上すれば、収支計画も立てやすくなります。
また、定期的なメンテナンスを実施すれば、建物の寿命が延びる可能性もあります。
住みやすさの維持・資産価値の維持、あらゆる面から防水工事は欠かせません。
防水工事の耐用年数に関して、この記事を役立ててもらえれば幸いです。